忍術には、伊賀や甲賀だけでも多くの流派があり、そのおびただしさは、無数に流れる川のよう。
しかしその川はすべて海へとつながっています。
万(よろず)の川が集ってやがて海になるように、伊賀・甲賀の49にも及ぶ忍術流派を集めた大海のような忍術書それが『万川集海』です。
『万川集海』は、江戸時代前期、伊賀の忍びの子孫に著された最もくわしい忍びの秘伝書です。忍術の全貌を明らかにする根源の書と言われ、知謀計略から天文、薬方、忍器に至るまで、忍びの業のすべてを明らかにしています。
さまざまな忍術が書き記される『万川集海』を紐解いてみると、忍びの者にとって最も重要な概念が「正心」であることがわかります。忍術を私利私欲のために使うことなく、世界がより良い方向に向かうためにのみその技術を使用する正しい心を持ち合わせた忍び。そして、どんなに辛く苦しい仕事を成し遂げても、決して人には自分の功績を自慢することなく、影の存在として“義”を貫いた忍びたちの姿が浮かんできます。「正心」を持ち合わせた忍びたちは、天下泰平を志す戦国武将たちを助け、忍術を駆使して歴史を動かすような仕事をして生きていたのです。そんな忍びたちの心構えと技術の集大成が、この『万川集海』なのです。
この『万川集海』をテーマにした伊賀流忍者体験施設が誕生します。伊賀流忍者の真髄を「遊ぶ」「学ぶ」「食べる」……さまざまな角度から体験できる施設です。
